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「106万円の壁」撤廃で手取りが減る?パート労働者の影響と対策を解説

106万円の壁

「106万円の壁」撤廃とは?手取り減少の背景

「106万円の壁」とは、従業員51人以上の企業で働くパートやアルバイトが、年収106万円(月収約8.8万円)を超えると、厚生年金や健康保険(社会保険)に加入しなければならない収入基準です。保険料負担により手取りが減るため、多くの人が労働時間を抑えてきました。

政府は2026年度にこの年収106万円の基準を撤廃し、従業員51人以上の企業で週20時間以上働く短時間労働者を社会保険に加入させる方針です。厚生労働省によると、この段階で約65万人が新たに加入。さらに、企業規模要件も撤廃される2027年10月以降には、計約200万人が加入対象になると推計されています。社会保険料の自己負担による手取り減少が大きな懸念です。

 

手取りが減る仕組みと具体例

社会保険に加入すると、給与から厚生年金と健康保険の保険料(おおむね14%前後、地域による)が天引きされます。これにより、年収106万円~150万円程度の人は手取りが現状より減る可能性があります。

例: 月収10万円(年収120万円)の場合

  • 現状(扶養内): 保険料負担なし → 手取り約10万円/月
  • 撤廃後(社会保険加入): 保険料約1.3万円/月天引き → 手取り約8.7万円/月
  • 影響: 年間で約15.6万円の手取り減少

特に、配偶者の扶養内で働く「第3号被保険者」(主に専業主婦やパート)は、これまで保険料を払わず年金受給資格を得ていましたが、撤廃後は自己負担が発生し、家計への影響が大きくなります。

誰が影響を受ける?特に注意が必要な人

手取り減少の影響を受ける主な層は以下の通りです:

  • 年収106万円~150万円のパート労働者: 保険料負担で手取りが減る可能性が高い。例: 月収8.8万円~12.5万円程度の人。
  • 第3号被保険者: 配偶者の扶養内で働いていた人。保険料負担ゼロから月1万円以上の天引きが発生する場合も。
  • 従業員51人以上の企業で働く短時間労働者: 2026年から約65万人が対象。2027年10月以降、企業規模要件撤廃で計200万人が加入対象に。

家計をパート収入で支えるシングルペアレントや、扶養内で働く主婦層にとって、手取り減少は生活に直結する問題です。2027年10月以降は中小企業のパート労働者にも影響が広がります。

手取り減少への対策は?政府と個人の対応

手取り減少を軽減するため、以下のような対策が検討されています:

政府の対応

  • 特例措置: 年収156万円未満の労働者向けに保険料の一部軽減が検討中ですが、2025年5月時点で正式決定していません。
  • 企業支援: 中小企業への補助金などで、賃金抑制や雇用削減を防ぐ狙い。ただし、具体策は未定。
  • 周知強化: 2026年度開始、2027年10月以降の拡大に向け、労働者への情報提供を徹底。

個人でできること

  • 労働時間の調整: 週20時間未満に抑えると社会保険加入を回避可能。ただし、収入減や雇用の不安定化リスクも。
  • 家計の見直し: 保険料負担分を補うため、節約や副収入を検討。例: 固定費削減、短時間の副業。
  • 長期視点での判断: 手取りは減るが、厚生年金加入で将来の年金が増える(例: 20年加入で年約20万円増)。老後の保障を優先するか検討。

注意: 特例措置は検討段階で未決定。最新情報を職場や自治体で確認しましょう!

まとめ 手取り減少をどう乗り越える?

「106万円の壁」の年収基準撤廃により、2026年から従業員51人以上の企業で働く約65万人のパート労働者が社会保険に加入し、手取りが減る可能性があります。2027年10月以降は企業規模要件の撤廃で計200万人が対象に。特に年収106万円~150万円の層や扶養内で働く人は、月1万円以上の負担増が家計を圧迫するかもしれません。一方で、厚生年金加入で将来の年金が増えるメリットも。政府の軽減策(検討中)や家計見直しを活用し、短期的な負担と長期的な保障をバランスよく考えることが大切です。

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