2025年の年金改革が注目されていますが、基礎年金の底上げが2029年まで先送りされ、将来の給付水準が30%低下する可能性が指摘されています。特に、バブル崩壊後の厳しい雇用環境で育った「就職氷河期世代」に深刻な影響が及ぶ恐れがあります。この記事では、年金改革の背景、基礎年金の現状、就職氷河期世代への影響、そして政府の対応について、初心者にもわかりやすく解説します。
1. 基礎年金とは?なぜ重要?
基礎年金の基本
基礎年金(国民年金)は、20歳から59歳までのすべての日本国民が加入する年金制度で、65歳から受け取れる基本的な年金です。2025年時点で月額約17,510円の保険料を納め、老後に一定額の給付を受けられます。この制度は、特に以下の人々にとって重要です
- 非正規雇用者(パート、アルバイト、ギグワーカーなど)
- 自営業者
- 厚生年金に加入していない人
厚生年金(会社員や公務員が加入)は収入に応じた給付がありますが、基礎年金は最低限の生活を支えるセーフティネットの役割を果たします。
基礎年金の課題
日本は少子高齢化が進み、年金制度の財政が圧迫されています。研究によると、2040年代半ばまでに基礎年金の給付水準が現在の約30%低下する可能性があるとされています。これは、物価や賃金の伸び悩み、年金財政の脆弱さが原因です。
例えば、現在約6.5万円/月(満額)の基礎年金が、将来4.5万円程度に減る可能性があります。これでは生活を維持するのが難しく、特に基礎年金だけに頼る人々にとって大きな問題です。
2. 就職氷河期世代への深刻な影響
就職氷河期世代とは?
就職氷河期世代(1970年代前半~1980年代前半生まれ、1993~2004年に就職活動)は、バブル崩壊後の不況で正規雇用を得られなかった人が多い世代です。以下のような特徴があります
- 非正規雇用の割合が高い:アルバイト、契約社員、フリーランスなど。
- 厚生年金の加入期間が短い:収入に応じた年金が少なく、基礎年金に依存。
- 保険料の未納・遅延:経済的困窮から国民年金の保険料を払えないケースも。
なぜ影響が大きい?
この世代は、老後に基礎年金だけで生活する可能性が高いです。しかし、給付水準が30%低下すると、生活費を賄えず、生活保護に頼るリスクが高まります。
例えば、月4.5万円の年金では、家賃や食費をカバーするのは難しく、貯蓄が少ない場合、貧困に直面する可能性があります。
3. 2025年年金改革のポイントと課題
改革の背景
2025年の年金改革は、少子高齢化と労働力不足に対応し、年金制度の持続可能性を高めることを目指しています。主な目的は
- 高齢者の経済基盤を安定させる。
- 労働力不足を補うため、就労促進や年金受給の増加を図る。
しかし、財源の問題や政治的な調整の難しさから、議論が難航しています。
主な改革案
以下のような案が検討されていますが、基礎年金の底上げは含まれていません
保険料納付期間の延長:
-
- 現在60歳までの国民年金保険料納付を65歳まで延長。
- 将来の給付が年間約10万円増えるが、保険料負担も約100万円増。
なぜ先送り?
基礎年金の底上げは、追加で約3兆円の財源が必要とされ、税負担の増加や財政赤字の懸念から2029年まで判断が先送りされています。この遅れは、就職氷河期世代の不安を増大させ、将来の社会保障費の増大リスクも指摘されています。
4. 政府の対応と今後の見通し
現在の状況
2025年5月14日時点で、年金改革法案は国会で審議中です。6月22日の通常国会終了までに成立する可能性がありますが、以下が焦点です
- 基礎年金の底上げ策:具体策がなく、2029年まで先送り。
- 厚生年金の減額問題:野党から批判が強く、議論が続く。
賛成・反対の声
- 賛成:高齢者の就労促進で労働力不足を解消し、年金制度の持続可能性が高まる。
- 反対:厚生年金の減額や保険料負担増が現役世代に重い負担を強いる。
未解決の課題
- 財源確保:3兆円の公費をどう賄うか。
- 第三号被保険者制度の廃止:専業主婦などが対象の制度について議論が進まず。
5. 私たちにできること
個人での対策
年金だけで老後を支えるのが難しい今、以下の準備が重要です:
社会への働きかけ
- 情報収集:年金改革の最新情報をチェック
- 意見表明:選挙やパブリックコメントで声を上げる。
6. まとめ
2025年の年金改革は、少子高齢化と労働力不足に対応する重要な一歩ですが、基礎年金の底上げが2029年まで先送りされ、給付水準が将来30%低下するリスクが指摘されています。特に、就職氷河期世代は非正規雇用が多く、基礎年金に依存するため、老後の貧困リスクが高まります。
政府は財源問題で対応が遅れていますが、個人としては貯蓄や保険料納付の確認など、今から準備を始めることが大切です。また、年金制度の持続可能性を高めるため、社会全体での議論も必要です。引き続き、最新情報を注視し、老後の生活設計に備えましょう。