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今週末にもアメリカがイランを攻撃するかもしれない──いったい何が起きているのか?

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アメリカがイランを攻撃

「米軍、今週末にもイラン攻撃の準備完了」「数週間続く大規模作戦になる可能性」

そんなニュースの見出しを目にして、「え、なんで?」と思った方、多いのではないでしょうか。

ウクライナ情勢も続く中、また中東で戦争が始まるかもしれない。でも、そもそもアメリカとイランってなんで対立しているの?核問題って何年も前から聞くけど、なぜ今なの?

この記事では、その「なぜ」をできるだけわかりやすく解説します。


まず「今、何が起きているか」をおさらい

米CNNは2月18日、米軍が早ければ今週末にもイランを攻撃する準備を整えていると報じました。ただし、トランプ大統領はまだ最終的な決断を下していないとも伝えています。

米ニュースサイト「アクシオス」(政府内部の情報筋に強いワシントン発の政治専門メディア)も同日、トランプ政権がイランとの大規模な戦争に近づいており、「間もなく始まる可能性がある」と報道。軍事作戦は数週間に及び、全面戦争になる見通しだとしています。アメリカ政府関係者は「今後数週間以内に軍事行動が起きる確率は90%だ」とまで語っています。

仮に攻撃に踏み切る場合、イスラエルとの合同作戦になり、昨年6月の攻撃に比べてより広範囲の攻撃で、数週間続く可能性があるといいます。

「昨年6月の攻撃」?と思った方もいるでしょう。そうです、実はこれが「初めて」ではありません。この背景をひも解くために、少し歴史をたどってみましょう。


そもそも、なぜアメリカはイランに強硬なのか

イランは「核兵器を作ろうとしている」と疑われている

イランは長年、「核開発はあくまで発電など平和目的だ」と主張してきました。しかし、アメリカとイスラエルはずっとそれを信じてきませんでした。

核兵器を作るには高濃度に精製した「濃縮ウラン」が必要です。イランはその濃縮を着々と進めており、2025年時点では核兵器転用が可能な水準の高濃縮ウランを400kg以上保有していたと報告されています。専門家によれば、「数週間あれば核爆弾1個分の材料が揃う」状態に近づいていたとされています。

なぜイランは核を持ちたいのか

イランの立場から見ると、核保有への動機はわかりやすいものがあります。

隣国イラクはかつてアメリカに侵攻されて政権が崩壊しました。リビアのカダフィ大佐は核開発を放棄した後に政権を失い、殺害されました。一方、北朝鮮は核を持ったことでアメリカが直接手を出せなくなっています。「核を持てば攻められない」という論理です。

また、イランと長年対立するイスラエルはすでに事実上の核保有国とされています。イランにとって「なぜイスラエルだけ許されるのか」という不満もあります。

アメリカが絶対に認めない理由

アメリカがイランの核保有を阻止しようとする理由も明確です。

第一に、イスラエルの安全保障です。アメリカの最重要同盟国であるイスラエルは、核を持ったイランと「共存できない」と主張しています。イスラエルにとって、核武装したイランは「国家存亡の脅威」そのものです。

第二に、核拡散の連鎖です。イランが核を持てば、サウジアラビアやエジプトなど周辺国が「自分たちも」と動き出す可能性があります。中東での核拡散は世界全体の安全保障を揺るがします。

第三に、中東での影響力維持です。イランはハマス(パレスチナ)、ヒズボラ(レバノン)、フーシ派(イエメン)など中東各地の武装勢力を支援しており、アメリカやイスラエルへの脅威を増大させてきました。核を持てば、その影響力はさらに強まります。


「話し合いで解決できなかったの?」──崩れた核合意の歴史

2015年、オバマ政権のもとで一度は合意が成立しました。「イラン核合意(JCPOA)」と呼ばれるもので、イランが核開発を大幅に制限する代わりに、欧米が経済制裁を解除するという内容でした。

しかし2018年、トランプ大統領(第1次政権)が「この合意では不十分だ」として一方的に離脱。制裁を復活させました。

反発したイランは核開発を加速させ、現在に至っています。

バイデン政権でも交渉は続けられましたが合意には至らず、2025年に再登場したトランプ第2次政権はより強硬な姿勢で臨んでいます。


なぜ「今週末」という話になったのか

今年2026年に入り、状況は急速に動いています。

トランプ大統領はイランに対して「核開発を完全に停止せよ」「弾道ミサイル開発もやめよ」「中東の武装勢力への支援もやめよ」という3つの要求を突きつけました。これは事実上、イランが最も大切にしている「防衛力の根幹」を全部捨てろという要求です。

アクシオスによると、攻撃に踏み切る場合の軍事作戦は数週間に及び、昨年ベネズエラを攻撃した時とは異なり、全面戦争になる見通しだといいます。軍事行動の規模は昨年6月の攻撃よりも「はるかに広範」で、目標はイランの体制転換になる見通しだとも伝えられています。

2月17日にスイス・ジュネーブで核を巡る高官協議が行われ、双方が「一定の進展があった」と述べました。しかし、アメリカはウラン濃縮の放棄やミサイル開発制限などを求めているのに対し、イランは核開発問題に限定したい考えで、溝は大きいままです。

イラン革命防衛隊は2月16〜17日、原油輸送の要衝ホルムズ海峡で軍事演習を実施し、海峡の一部を一時封鎖しました。1980年代以来の異例の事態です。これはアメリカへの警告と見られています。


「ホルムズ海峡の封鎖」と日本への影響

ホルムズ海峡とは、中東の産油国から石油を輸出する際に必ず通らなければならない「海上の関所」です。世界の石油輸出量の約2割がここを通ります。

日本は原油のほぼ全量を中東に依存しています。もしホルムズ海峡が封鎖されれば、石油の供給が滞り、ガソリン価格や電気代の急騰、物流コストの上昇など、日常生活への直撃が避けられません。

米イランの問題は、遠い中東の出来事ではなく、私たちの生活に直結する問題です。


なぜアメリカはイランを攻撃しようとしているのか

今後どうなる?「3つのシナリオ」

① 外交解決:イランが何らかの形で譲歩し、核開発の制限に合意する。経済制裁の緩和と引き換えに、緊張が緩和されるシナリオ。ただし、現時点では両者の溝は大きく、可能性は低いと見られています。

② 限定的な軍事攻撃:昨年6月のような核施設への局所的な攻撃にとどまるシナリオ。ただし今回は「昨年より広範囲」と報じられており、限定的にとどまる保証はありません。

③ 長期的な大規模衝突:数週間以上にわたる全面戦争に発展するシナリオ。イランが全面報復に出た場合、ホルムズ海峡の封鎖、中東全域への拡大など、世界経済を揺るがす事態になりかねません。


まとめ

「今週末にも米軍がイランを攻撃するかもしれない」というニュースは、長年積み重なってきた米イラン対立が、ついに決定的な局面を迎えつつあることを示しています。

核問題をめぐって交渉は続いていますが、両者の要求の溝はあまりに深く、外交での解決は難しい状況です。イランは核開発を諦めず、アメリカはそれを絶対に認めない。この構造的な対立が、今まさに軍事衝突の瀬戸際に来ています。

日本にとっても対岸の火事ではありません。エネルギー価格、世界経済、そして国際秩序の行方に直結するこの問題、引き続き注目していく必要があります。