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トランプ関税が「違憲」に。でも関税はなくなっていない?2026年最新情報をわかりやすく解説

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トランプ関税が「違憲」に

公開日:2026年2月24日


ニュースを見て「えっ、どういうこと?」と思った方へ

「トランプ大統領の関税が最高裁で違憲と判断された」というニュースが飛び込んできました。

でも翌日には「新たな関税を発動した」というニュースも出てきて、「結局どうなったの?」と混乱した方も多いはずです。

この記事では、何が違憲になったのか・関税は今どうなっているのか・日本への影響は何かを、できるだけわかりやすく整理します。


まず結論  関税はなくなっていない

最初に大事なことをお伝えします。

最高裁が「違憲だ」と判断したのは、特定の法律を使った関税のやり方です。「関税そのものを禁止した」わけではありません。

そしてトランプ大統領は判決当日の夜、別の法律を使って新しい関税をすぐに発動しました

つまり関税はなくなっておらず、形を変えて続いています。


そもそも何が「違憲」になったのか

トランプ大統領がやってきたこと

トランプ大統領は2025年に、「国家緊急経済権限法(IEEPA)」という1977年に作られた古い法律を使って、大量の関税を発動してきました。

  • 「相互関税」:ほぼ全世界からの輸入品に10〜50%の関税
  • 対中追加関税:中国からの輸入品に最大145%の関税
  • 薬物密輸を理由にした関税:カナダ・メキシコへの追加関税

この法律は本来、「国の安全が脅かされるような非常事態」に大統領が使える緊急措置のための法律です。トランプ氏はこれを使って「貿易赤字は国家的な脅威だ」と主張し、議会の承認を得ずに関税を次々と発動していました。

最高裁の判断

2026年2月20日、連邦最高裁は6対3で「この法律(IEEPA)は大統領に関税を課す権限を与えていない」と判断しました。

理由はシンプルです。

「関税は税の一種。税を課す権限は議会にある。大統領が勝手に決めていいものではない」

アメリカの憲法には「税を課す権限は議会にある」と明記されています。大統領が緊急事態だと言えばいつでも無制限に関税をかけられる、というのは憲法に違反する、というわけです。

注目すべきは、トランプ氏が自分で任命した判事2人も「違憲」側に回ったことです。判決後、トランプ氏は「ある判事を恥ずかしく思う」と公開で批判しました。


判決の後に何が起きたか

「じゃあ別の法律を使う」

トランプ大統領は判決当日の夜に記者会見を開き、こう言い放ちました。

「最高裁は関税そのものを禁じたわけではない。別の法律を使えばいい」

そして同日夜、1974年通商法・第122条という、これまた古い法律を根拠に、ほぼ全世界からの輸入品に一律10%の関税を新たに発動。翌日にはさらに15%に引き上げました。

新しい関税のルール

この新しい「第122条関税」には、IEEPAにはなかった制限があります。

  • 上限は15%まで(IEEPAには上限なし)
  • 150日間しか続けられない(2026年7月24日まで)
  • 延長するには議会の承認が必要(IEEPAは大統領令だけでよかった)

つまり、夏までの「時限付き」関税です。7月以降どうなるかは、今後の議会との交渉にかかっています。


日本への影響  数字は変わっていないが、意味は変わった

トランプ関税図解

ここが今回の話で一番重要なポイントです。

日本の関税率は15%のまま

日本は2025年7月に米国と貿易交渉を行い、その結果として輸入関税を15%とすることで合意しました。日本はその見返りに、米国への大規模な投資計画(約550兆円規模)を約束しています。

そして今回の最高裁判決後、新しい関税も15%

数字だけ見れば何も変わっていません。

でも「意味」が変わった

ただし、内側を見ると話が違います。

  以前の15%(IEEPA) 新しい15%(第122条)
対象 日本が交渉して勝ち取った優遇レート 世界全員に課される一律レート
背景 550兆円の投資約束と引き換え 投資約束に関係なく全国一律
有効期間 期限なし(条件付き) 150日間の時限措置

つまりこういうことです。

日本は昨年、「大きな投資をするから関税を15%にしてほしい」と交渉し、合意を勝ち取りました。それが今回の判決で、交渉しなかった国・投資を約束しなかった国も同じ15%になったのです。

逆に変化が大きかったのは、IEEPAで高い税率をかけられていた中国やブラジルです。中国は最大145%だった関税が事実上なくなり(別途残る関税はありますが)、大きな恩恵を受けました。

日米の合意は続く

米国のグリア通商代表(USTR)は「日本との合意は引き続き有効だ。互いに守っていく」と述べています。日本政府も「投資計画に変更はない」としており、短期的に日米関係に大きな混乱は起きない見通しです。


日本にとって本当のリスクは自動車関税

日本の輸出品の中で最も重要な自動車。実はここが最大の問題です。

自動車・自動車部品への25%関税は、IEEPAではなく「通商拡大法・第232条(安全保障を理由にした関税)」を根拠にしています。そのため、今回の最高裁判決は自動車関税には一切影響しません

日本の大手自動車メーカーにとって、この25%関税の行方が最も重要なテーマであることに変わりありません。


払いすぎた関税は戻ってくる?

2025年に徴収されたIEEPA関税は、日本円にして約20兆円以上にのぼります。これは違法とされたわけですから、本来は返ってくるはずです。

ただし最高裁は「還付する方法や時期」については何も決めませんでした。これは別の裁判所(国際貿易裁判所)が今後判断することになります。

「申請が殺到すれば処理に何年もかかる」との見方もあり、企業はすぐにお金が戻ってくるとは考えない方がよさそうです。


今後の注目点

2026年7月24日(第122条の期限):新関税は150日後に自動的に失効します。議会が延長しなければ関税は下がりますが、トランプ氏は「期限が来たらまた宣言して再発動できる」と示唆しています。

3月19日の日米首脳会談:高市首相がホワイトハウスを訪問する予定です。550兆円の投資計画の扱いや自動車関税の行方が議題になるとみられています。

中国との関係:判決をきっかけに、3月には米中首脳会談も予定されています。対中関税の今後の方向性が注目されます。


3行でまとめると

  1. IEEPAという法律を使ったトランプ関税が最高裁で「違憲」と判断された
  2. でもトランプ氏はすぐ別の法律で15%の新関税を発動。関税はなくなっていない
  3. 日本の関税率は以前と同じ15%だが、苦労して交渉した意味が薄れた形に