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「租税特別措置の見直し」って何?高市首相がよく言う言葉をわかりやすく解説

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「租税特別措置の見直し」って何?


ニュースでよく聞く「租税特別措置の見直し」、一体何のこと?

高市早苗首相は、就任直後から「責任ある積極財政」を掲げ、あらゆる場面で「租税特別措置(租特)の見直し」という言葉を使っています。2026年2月の施政方針演説でも「行財政改革を進めた上で戦略的な財政出動を行う」と述べ、その柱として租特の見直しを挙げました。

でも、「租税特別措置」と言われてもピンとこない人がほとんどではないでしょうか。この記事では、その意味と、見直しによって何が変わるのかをゼロから解説します。


そもそも「租税特別措置」とは何か?

税金には「原則」と「例外」がある

税金の世界には、誰にでも適用される「原則的なルール」があります。たとえば、会社が儲けたら法人税を払う、個人が稼いだら所得税を払う、といったものです。

「租税特別措置(租税特別措置法)」とは、この原則ルールの例外です。特定の条件を満たした企業や個人に対して、税金を安くする・免除する・先送りにする制度のことを指します。

身近な例で考えてみよう

租税特別措置には、私たちにも関係するものがたくさんあります。

個人に関するもの(例)

  • 住宅ローン減税:家を買った人は所得税が一定期間安くなる
  • NISAの非課税制度:株や投資信託の利益にかかる税金をゼロにする
  • 医療費控除:医療費が多い年は税金が減る

企業に関するもの(例)

  • 賃上げ促進税制:従業員の給料を上げた会社は法人税が安くなる
  • 研究開発税制:研究開発に投資した分だけ法人税が減る
  • 設備投資減税:最新の機械を導入した企業は税金が優遇される

つまり「政策的に望ましい行動(家を買う・給料を上げる・投資するなど)をとった場合に、ごほうびとして税金を安くする仕組み」と考えるとわかりやすいでしょう。


なぜ「見直す」のか?何が問題なのか?

問題① 古くなって効果がなくなっている

租税特別措置の多くは「〇〇を促進するため」という明確な政策目的のもとで作られました。しかし、時代が変わり、目的が達成されたり、状況が変わったりしても、制度だけが残り続けてしまうことがあります。

今回の2026年度税制改正では、大企業向けの「賃上げ促進税制」が廃止されました。理由は「一定の賃上げが社会に定着しつつあり、政策としての必要性が薄れた」という判断です。制度が役目を終えたのに残し続けると、ただ国の税収が減るだけになってしまいます。

問題② 税収の穴になっている

日本には現在、数百種類もの租税特別措置が存在すると言われています。ひとつひとつは「必要だから」と作られたはずですが、積み上がると国全体の税収を大きく押し下げます。

高市首相が「見直し」を財源として挙げているのは、この点です。たとえば、消費税の食料品ゼロ%化や年収の壁引き上げといった大型減税の財源として、「効果の薄い租税特別措置を廃止・縮小して財源を生む」という考え方です。

問題③ 大企業への恩恵が偏りがち

租税特別措置の恩恵は、制度を活用できる体力のある大企業に集中しやすいという問題も指摘されています。中小企業は制度を知らなかったり、手続きが複雑すぎて利用できなかったりするケースも少なくありません。


「日本版DOGE」と租税特別措置の関係

高市内閣は2025年11月、「租税特別措置・補助金見直し担当室」を内閣官房に設置しました。アメリカのトランプ政権が進める「DOGE(政府効率化省)」になぞらえて、「日本版DOGE」とも呼ばれています。

この組織の役割は、現存する租税特別措置と補助金を一つひとつ点検し、「本当に効果があるか」「今も必要か」を精査して、不要なものを廃止・縮小することです。2027年度予算に向けて本格的に動き出す予定で、今後の租特見直しの司令塔となる見込みです。


見直すと私たちの生活はどう変わるのか?

企業が影響を受ける場合

大企業向けの減税制度が廃止・縮小されると、企業の税負担が増えます。利益率が下がれば、その分を従業員の給与や設備投資に回せなくなる可能性もあります。一方で、「税負担を公平にして健全な競争を促す」という見方もあります。

私たちの暮らしへの恩恵が生まれる場合

見直しによって浮いた財源は、新しい政策の財源として使われます。高市首相の場合、その使い道として次のものが挙げられています。

  • 食料品の消費税2年間ゼロ%(検討中)
  • 年収の壁の引き上げ(178万円)(2026年より実施)
  • 教育無償化

つまり、企業向けの「効果の薄い優遇」を削って、家計への直接支援に回す流れとも言えます。


よくある質問

Q. 租税特別措置の見直しで、住宅ローン減税やNISAもなくなるの?

A. 現時点では、住宅ローン減税やNISAを廃止する動きはありません。見直しの対象は主に「政策効果が薄れた企業向け法人税優遇」が中心です。ただし、今後の議論次第で制度内容が変わる可能性はあるため、引き続き動向を注視する必要があります。

Q. 見直しは増税なの?

A. 厳密には「特定の優遇の廃止」なので、該当する企業や個人にとっては実質的な増税です。ただし、その財源で別の減税や給付が行われるため、全体としてどちらが多いかは政策の組み合わせによります。

Q. 高市首相はなぜこれほど強調するの?

A. 消費税減税や年収の壁引き上げといった大型の「手取り増」政策を実現するには、新たな財源が必要です。赤字国債に頼らずに財源を作るための現実的な手段として、「効果の薄い租特の廃止・縮小」が最も説明しやすいからです。


まとめ

ポイント 内容
租税特別措置とは 特定の条件を満たした場合に税金を安くする例外的な制度
なぜ見直す? 効果が薄れた制度を廃止・縮小して財源を生み出すため
何が変わる? 企業向け優遇が縮小→その分が家計支援の財源に
司令塔は? 「租税特別措置・補助金見直し担当室」(日本版DOGE)
今後の注目点 2027年度予算に向けた日本版DOGEの本格稼働

租税特別措置の見直しは、「増税か減税か」という単純な話ではなく、「誰に税の恩恵を与えるか」を組み替える作業です。効果の薄い企業優遇を削り、家計への支援を厚くするという方向性が、高市政権の「責任ある積極財政」の柱のひとつになっています。今後も税制改正の議論とあわせて、その行方に注目していく必要がありそうです。