
ニュースの概要 何が起きているの?
- 対象の国と規模: 万博に参加する海外パビリオン(外国の展示館)のうち、11カ国(アメリカ、中国、ドイツ、ポーランド、セルビア、アンゴラ、マルタ、インド、ウズベキスタン、タイ、ルーマニア)で、建設工事の費用が未払いになっている問題が発覚しました。下請け業者(実際に工事した日本の建設会社など)から、合計19社以上が「代金が支払われていない」と訴えています。未払いの総額は数億円規模で、例えばアメリカ館で約2800万円、中国館で約1.1億円、ポーランド館で約3億円などの事例が報じられています。
- 経緯: 万博の建設は2025年の開幕前に急ピッチで進められましたが、工事に関わった下請け業者が元請け(発注元、しばしば海外企業やその関連会社)からお金をもらえず、困窮。5月頃に「被害者の会」が発足し、8月には一部の業者が裁判を起こしました。日本国際博覧会協会(万博の主催者)や各国政府に相談が寄せられ、協会は9月1日に11カ国での問題を公表。「大変遺憾」とコメントしています。
- 影響: 下請け業者は資金繰りが悪化し、従業員の給与遅れや大学進学断念、自宅・車売却などの深刻な被害が出ています。一方、元請け側は「未払いはない」と否定するケースが多く、争いが泥沼化しています。
なぜそんなことが起きているのか?(主な理由)
この問題の背景は、単なる「お金のトラブル」ではなく、日本と海外のビジネス文化の違いや、万博特有の事情が絡んでいます。主な理由を以下にまとめます。
- 商習慣の違い(日本 vs 海外): 日本では「性善説」(相手を信頼する)がベースで、工事中に仕様変更や追加作業が発生しても、口頭での約束で進め、後から調整する文化が根強いです。一方、海外(特に欧米やアジアの一部)では「性悪説」(まず疑って精査する)が一般的で、すべての変更を書面で厳密に契約し直すのが普通。これがミスマッチを起こし、日本の下請けが追加費用を請求しても、海外元請けが「そんな契約はない」と拒否するケースが多いです。例えば、セルビア館・ドイツ館では当初の契約額6.3億円が実際13億円かかったのに、追加分が未払いになりました。
- 契約の不備と認識のズレ: 工事中に材料費の高騰や地下の障害物発見などで追加工事が増えましたが、書面契約が不十分だったり、口頭のみだったりしたため、元請けと下請けの間で「お金の合意」が食い違っています。元請けが海外企業の場合、言語や文化の壁で意思疎通が難しく、トラブルが拡大。
- 万博特有の外部要因: 工期が短く、物価高騰(電気工事の日当が1.6万円→6万円に跳ね上がるなど)や資材不足が重なりました。SDGs(持続可能な開発目標)を意識した海外資材の輸入もコストを押し上げ、予算オーバーになりやすい状況でした。これで追加費用が発生し、支払いが滞ったのです。
- 業者側の心理的な要因: 下請け業者が「国家の一大イベントに参加したい」「国が関わるから安心」と考え、契約を甘く見積もったり、事前の確認を怠ったりしたケースもあります。結果、元請けの倒産(アメリカ館の例)で回収不能に。
今後の見通し
協会は参加国に法令遵守を促していますが、問題は当事者間の民事紛争なので、裁判や話し合いで解決するしかありません。万博は開催中ですが、このトラブルがイメージダウンにつながる懸念もあります。