
浜岡原子力発電所で、地震の揺れをどう見積もるかという根本部分で重大な問題が表面化しました。中部電力が安全審査で使う地震データを不適切に扱い、実際より揺れを小さく見せていた疑いが強まっています。
浜岡原発は南海トラフ巨大地震の想定震源域に近く、日本でも地震リスクが高い場所にあります。東日本大震災後に全炉が停止し、現在は3号機と4号機の再稼働を目指して原子力規制委員会の厳しい審査を受けていました。
基準地震動とは何か
今回の中心にあるのが「基準地震動」です。これは原発が耐えなければならない最大クラスの地震の揺れを数値で示したものです。
数値が大きいほど安全側の設計になります。逆に揺れを小さく見積もれば、耐震対策が不足する可能性が出てきます。
何が起こったのか
中部電力は2019年ごろの審査で、複数のシミュレーション結果のうち平均に近いデータを代表として選ぶ説明をしていました。
ところが実際には、説明と異なるやり方が行われていた疑いが浮上しています。
- 説明と違う方法で計算していた疑い
- 揺れが小さく出るデータを選んでいた疑い
- 本来の想定より多くのデータセットを作り、有利な結果を採用していた疑い
この結果、基準地震動が過小評価されていた可能性が高いとされています。社員からは意図的に過小評価していたという証言もあり、社内で疑問の声が出ていたのに不正が続いていた点も深刻です。
不正は原子力部門の一部が中心となり、外部委託先の計算について中部電力側が指示して進められていたとみられています。
いつ発覚したのか
2025年2月に規制委員会へ外部から通報があり、調査が始まりました。2026年1月5日に中部電力が公式に発表し、社長が会見で深く謝罪しています。原子力事業の根幹を揺るがす問題だと認め、第三者委員会を設置して原因調査を進めています。
現在の状況と影響
2026年1月7日、原子力規制委員会はこの行為をデータの捏造と認定し、再稼働に向けた審査を白紙に戻す方針を決めました。安全審査そのものをやり直す必要があるという厳しい指摘も出ています。
なぜ深刻なのか
原発の安全は、最悪の地震でも壊れないことが大前提です。もし想定していた揺れが小さすぎた場合、耐震対策が不足していた可能性が出てきます。
福島事故後の厳しい規制のもとで進められてきた安全審査に対して、データの扱いそのものへの信頼が揺らぐ事態となりました。中部電力の信用失墜にとどまらず、他の原発審査にも影響が波及する恐れがあります。
まとめ
要するに、中部電力が審査を有利に進めるために地震リスクを意図的に小さく見せていた疑いが濃厚で、それが発覚して審査がストップしたという重大な不祥事です。今後は第三者委員会の調査結果や、規制委員会の追加対応が注目されます。


