食料品の消費税をめぐり、新しい案が示されました。ポイントは「税率は1%にするけれど、給付と組み合わせて"実質ゼロ"にする」という点です。でも、1%払うのに「実質ゼロ」とはどういうことなのでしょうか。仕組みを順番に見ていきます。
① 何が起きたか
2026年6月17日、超党派の「社会保障国民会議」(消費税減税の制度設計を話し合う会議)の実務者会議が開かれました。
そこで議長を務める自民党の小野寺五典・税制調査会長が、次のような「議長案」を示しました。
- 食料品の消費税を、2027年4月から2年間、1%に引き下げる
- 引き下げきれない1%分(年6000億円程度)は、中低所得者への給付で返す
- これによって、消費税を「実質ゼロ」にする
会議は月内の中間とりまとめを目指しており、最終的には高市早苗首相が判断するとされています。
②「実質ゼロ」とはどういうこと?
ここが今回の一番のポイントです。
まず、レジで払う税率は0%ではなく1%です。つまり、お店で食料品を買うときには、1%分の消費税はちゃんと払うことになります。
そのうえで、政府が1%分に相当するお金を、あとから給付(現金などで支給)して返すという仕組みです。払った分を返してもらえるので、差し引きすると負担が「ほぼゼロ」になる。これが「実質ゼロ」という言葉の意味です。
なぜ最初から0%にしないの?
「だったら最初から0%にすればいい」と思うかもしれません。理由のひとつがレジのシステム改修です。
税率を1%にする場合、レジの改修は5〜6カ月程度で済むとの政府見解が示されています。一方、0%(ゼロ税率)にすると対応がより大きくなるとされ、早く始めたいなら1%のほうが現実的、という事情があります。
注意したい点
ただし、給付の対象は中低所得者で、全員が受け取れるわけではありません。また、減税は4月から、給付は秋ごろからと時期にもズレがあります。「誰にとってもピッタリ実質ゼロ」になるわけではない点は、おさえておきたいところです。
補足:給付付き税額控除とは 所得が低い人には現金を給付し、ある程度所得がある人は納める税から差し引く、という仕組みです。今回の案では、この給付を「所得に応じたきめ細かい給付」に一本化し、2029年ごろの本格導入を目指すとされています。
③ 各方面の反応・論点
この案には、与党・野党の双方から注文がついています。
自民党内からは「公約はゼロだったはず」という声が出ています。高市政権は2026年2月の衆院選で「食料品の消費税ゼロ」を掲げており、「公約が重い」「ゼロにすべきだ」といった異論が報じられています。
野党側も難色を示しています。国民民主党の古川元久・代表代行は、1%案について「ほとんど議論していない」と指摘。新党「チームみらい」の担当者も「同意は難しい」との考えを示したと報じられています。
論点を整理すると、おもに次の3つです。
- 公約との整合性:「ゼロ」と言っていたのに「1%+給付」でよいのか
- 給付の手間と対象:誰に、いくら、どう届けるのか
- 外食やお酒との差:店内飲食(外食)とお酒はもともと10%で今回の対象外。一方、持ち帰り(テイクアウト)は1%に下がるため、両者の差が大きく開き、外食業界への影響が論点になる
④ 今後の展開とまとめ
国民会議は月内の中間とりまとめを目指し、最終的には高市首相が判断する見通しです。「ゼロ」か「1%+給付」かで、世論の動きも見ながら詰めるとみられています。
家計への影響について、あるメディアの試算では、4人家族で税率1%の場合、年間およそ1.2万円分の負担軽減が目安とされています。給付で返る分を含めれば、実質的な負担はさらに小さくなる計算です。ただし、これはあくまで試算で、家庭の食費によって変わります。
身近な「食べ物の値段」に直結する話です。最終的にどの形に落ち着くのか、月内の動きに注目しておきたいところです。
参照元
- 時事ドットコム:https://www.jiji.com/jc/article?k=2026061700820&g=eco
- NHKニュース:https://news.web.nhk/newsweb/na/na-k10015152301000
- 日テレNEWS NNN(Yahoo!ニュース):https://news.yahoo.co.jp/articles/16b8016e134bd31dd82dc0d6746a5152e48862f1
- 日本経済新聞:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA1744X0X10C26A6000000/