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「トランプを解任できる?」いま話題の"修正第25条"をわかりやすく解説

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修正第25条

2026年4月、SNSが騒然となりました。トランプ大統領が「イランが合意しなければ、今夜、文明全体が滅ぶ」と投稿したのです。この発言をきっかけに、アメリカでは「合衆国憲法修正第25条」の発動を求める声が、野党の民主党だけでなく、与党・共和党の一部からも上がり始めています。

「修正第25条って何?」「本当にトランプ大統領をクビにできるの?」——この記事では、その仕組みと現実の可能性を、できるだけわかりやすく解説します。


そもそも「修正第25条」って何?

合衆国憲法修正第25条は、1967年に制定された、大統領が職務を遂行できなくなったときの対処法を定めたルールです。

この条項が作られた背景には、過去の歴史があります。リンカーン大統領が暗殺されて意識を失ってから亡くなるまでの数時間、ウッドロウ・ウィルソン大統領が脳卒中で倒れた後の約1年半——その間、アメリカには事実上「誰も大統領業務をできない」という空白の時間がありました。そうした事態を防ぐために整備されたのがこの条項です。

条文は全部で4つの項目から成りますが、今回注目されているのは第4項。これは大統領本人の意思に反して、権限を剥奪できる唯一の規定です。


第4項の仕組み:「クーデター」の合法版?

第4項の手順を簡単に説明すると、こうなります。

ステップ①:発動の宣言 副大統領(現在はJ.D.ヴァンス氏)と、各省の長官たち(閣僚)の過半数が、「大統領は職務を遂行できる状態にない」と連邦議会に書面で通知します。

ステップ②:即時の権限移行 通知した瞬間に大統領の権限は停止し、副大統領が「大統領代行」として権力を引き継ぎます。

ステップ③:大統領の反論 大統領が「私は問題ない」と反論の書面を出せば、一度は権限が戻ります。

ステップ④:最終決着は議会へ 副大統領と閣僚が再び「やはりダメだ」と主張した場合、最終的な判断は議会に委ねられます。上下両院それぞれで3分の2以上の賛成があれば、大統領は正式に職務不能と認定され、副大統領が引き続き権限を持ち続けます。

この手続きの最大の特徴は、「大統領が自ら辞職すると言わなくても、周囲が動けば権限を止められる」という点です。学校でたとえるなら、生徒会長が「自分は問題ない」と言い張っても、副会長と顧問の先生方の過半数が「この人には任せられない」と職員会議(議会)に訴え、学校全体の3分の2が賛成すれば、会長の職を剥奪できる——そんなイメージです。


なぜ今、この話が出ているのか

今回の騒動の発端は、2026年4月7日(現地時間)に行われたトランプ大統領の発言です。

イランとの核交渉の期限が迫る中、大統領はSNSで「合意しなければ今夜、文明全体が滅ぶ」と投稿。発電所や民間インフラへの攻撃を示唆したこの発言に対し、議員からは「これは戦争犯罪だ」という批判が上がり、一部では核兵器の使用を示唆しているのではという懸念さえ広がりました(ホワイトハウスは核使用の検討を否定しています)。

この発言を受け、修正第25条の発動を求める声が広がりました。注目すべきは、それが民主党だけでなく、元々トランプ氏の支持者として知られていた共和党側の人物からも上がったことです。

「トランプ氏は正気を失った。修正第25条だ」(マージョリー・テイラー・グリーン前共和党下院議員)

「米大統領はわが国のみならず、世界にとっても国家安全保障上の脅威だ」(アンサリ民主党下院議員)

CNNの報道によれば、修正第25条の発動を求めているのは主に民主党側で、その数は数十人にのぼります。ただしその後、トランプ大統領は期限2時間前に、ホルムズ海峡を開放することを条件にイランとの2週間の停戦合意を発表し、一時的に緊張は緩和しました。


実際に解任される可能性は?

結論:現時点では、可能性は極めて低いと言わざるを得ません。その理由は「ハードルの高さ」にあります。

ハードル① 副大統領の同意が絶対に必要

修正第25条の発動には、副大統領ヴァンス氏の署名が不可欠です。ヴァンス氏はトランプ氏の忠実な支持者であり、CNNの報道でも「ヴァンス副大統領が賛成する兆候はみられない」とされています。

ハードル② 閣僚の過半数も必要

現在の閣僚の多くはトランプ氏自身が任命した支持者です。「大統領は職務不能だ」と署名する人物が過半数に達するかは、非常に難しい状況です。

ハードル③ 最終的に議会で「3分の2」が必要

仮に副大統領と閣僚が動いたとしても、現在は共和党が多数を占める議会で、3分の2以上の賛成を得ることは政治的にほぼ不可能です。

また、根本的な問題として、修正第25条は本来「昏睡状態」や「重度の認知症」など、医学的・身体的に職務遂行が不可能な状態を想定したものです。「方針が過激だ」「発言が危険だ」といった政治的な理由で適用された前例はなく、専門家の間でも「政治的な反対意見を解任の道具にすることには慎重であるべき」という見方が根強くあります。


それ以外にトランプ氏をやめさせる方法は?

修正第25条以外にも、法的な手続きはいくつかあります。

弾劾(Impeachment)は、最も標準的な手続きです。下院の過半数で訴追し、上院の3分の2で有罪となれば解任されます。4月には弾劾条項を含む決議案が一部の議員から提出されましたが、現在の議会構成では可決の見通しは立っていません。

辞職(Resignation)は、1974年のニクソン大統領のような自発的な辞任です。4月13日発表の世論調査では有権者の約52%が弾劾を支持しているというデータもありますが、トランプ氏の性格上、自ら辞任する可能性は低いと見られています。

現実的なシナリオとしては、2026年11月の中間選挙が一つの分岐点になりそうです。民主党が上下両院で大きく議席を獲得すれば、弾劾が現実味を帯びてくる可能性があります。


まとめ

修正第25条は、「副大統領と閣僚が動かなければ始まらない」という仕組みです。現在の政治状況では、彼らがトランプ氏に反旗を翻す可能性はほぼゼロに近いと言えます。

今回の騒動は、トランプ大統領の対イラン強硬姿勢に対する強い危機感の表れであり、法的な解任手続きへの本格的な動きというよりは、政治的な「警告」としての側面が強いというのが、現時点での大方の見立てです。

ただ、かつてのトランプ氏の盟友たちまでが公然と「解任」を口にし始めたこと——それ自体が、アメリカ政治の新たな局面を示しているのかもしれません。