最近、参政党が掲げる「創憲」という言葉がSNSや一部メディアで注目を集めています。しかし、この「創憲」という主張は、現行の憲法制度の中でどこまで実現可能なのでしょうか?今回は、法律的な枠組みと現実的なハードルを踏まえて、冷静に整理してみます。
「創憲」とは?今ある憲法をゼロから作り直すという発想
まず、「創憲(そうけん)」とは、今の日本国憲法を一度白紙に戻し、新たに憲法を制定しようという考え方です。これは「改憲(かいけん)」、つまり一部の条文を修正するのとは異なり、全面的な作り替えを意味します。
しかし、日本国憲法には「憲法を白紙から作り直す」ための明確なルールは存在していません。現行の枠組みでは、憲法の条文を改正する手続きはあっても、新しい憲法を一から作るための制度はないのです。言い換えれば、「創憲」は制度の外にある話だということになります。
憲法改正のハードルは非常に高い
日本国憲法の第96条には、改正の手続きが明記されています。
この手続きを経ても、1947年の施行以来、憲法改正は一度も実現していません。それだけ、憲法改正のハードルは高いということです。
なお、国民投票は「条文ごと」ではなく、「国会が発議した改正案単位」で行われます。ただし、複数の改正案を個別に発議することで、実質的に条文ごとの判断を求めるような形になることもあります。投稿などで「条文ごとの国民投票」と表現されるのは、そのような実態を反映していると考えられます。
ゼロからの「創憲」は、現実には制度外の行為
参政党が主張するような「創憲」、つまり憲法そのものを破棄して新たに作り直すという行為は、現在の法制度において想定されていません。
このような「ゼロからの憲法制定」を実現しようとするなら、現行の枠組みをいったん否定し、新たな制度を構築する必要があります。つまり、通常の民主的プロセスではなく、制度の外にある大きな政治的変化や社会的合意が必要になるということです。
現実的に可能なのは「部分的な改正」が限界
こうした背景から考えると、現実的に憲法に手を加える方法は、今の制度にのっとった「部分改正」が限界というのが実情です。実際に、9条改正や緊急事態条項の創設などが議論されていますが、それすらも長年停滞していることを見ても、全面的な作り替えなどは到底現実的とは言えません。
まとめ 制度の枠を無視した「創憲」論には注意が必要
参政党が掲げる「創憲」は、一見すると大胆で新鮮に聞こえるかもしれません。しかし、それは現実の法制度や国民的合意形成の難しさを無視した、非現実的な主張です。
私たちが本当に考えるべきなのは、制度に則った改正の可能性と、その中でどんな憲法がふさわしいかという議論です。「創憲」という言葉に惑わされることなく、冷静に、現実的な視点で憲法と向き合っていくことが求められます。