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加給年金とは?わかりやすく解説

加給

年金制度の中でも少しわかりづらい「加給年金(かきゅうねんきん)」。この記事では、加給年金とは何か、もらえる条件や金額、2020年代以降の変更点について、一般の方にもわかりやすく解説します。

加給年金とは?

加給年金は、厚生年金を受け取る人が一定の扶養家族を持っている場合に、上乗せで支給される年金です。会社員や公務員など、厚生年金に長く加入していた人が対象で、いわば「年金版の家族手当」とも言えます。

支給される条件

以下の条件をすべて満たすと、加給年金が支給されます。

  • 本人が厚生年金の老齢厚生年金を受け取るようになった。
  • 本人の厚生年金加入期間が20年以上ある。
  • 配偶者が65歳未満、かつ老齢厚生年金や障害年金などを受ける権利がないこと。
  • 子どもが18歳到達年度の3月末までにある、または20歳未満で障害等級1級または2級の状態にある場合。

いくらもらえる?

2024年度の支給額は以下の通りです。

  • 配偶者:年間234,800円(月額約19,500円)
  • 子ども(2人目まで):年間234,800円
  • 子ども(3人目以降):年間78,300円

さらに、配偶者が特定の条件を満たす場合には、特別加算(最大約17万円)が加わることがあります。

いつまでもらえるの?

  • 配偶者が65歳になると終了
  • 子どもは、18歳の誕生日の年度末(3月31日)で終了
  • 障害のある子ども(1・2級)は20歳未満まで支給

2024年度の支給額(現行)

  • 配偶者:年額23万4,800円+特別加算(最大年額17万3,800円)*1
  • 子ども(第1子・第2子):年額23万4,800円
  • 子ども(第3子以降):年額7万8,300円

*1特別加算の金額は配偶者の生年月日によって異なります。

2022年の制度改正と経過措置

2022年4月から、配偶者が以下のいずれかに該当する場合、加給年金の支給が停止されるようになりました。

  • 老齢厚生年金や共済年金の受給権(加入期間20年以上)を有している
  • 障害年金の受給権を持っている
  • 特別支給の老齢厚生年金の受給権(加入期間20年以上)を有している

これにより、「配偶者が実際に受け取っていなくても、受給権があるだけで加給年金は停止される」という点が大きな変更点となりました。

経過措置の対象

2022年3月時点で加給年金を受け取っていた人で、配偶者の年金が実際に支給停止されていたケースなどについては、一定条件のもと、加給年金が継続されています。

2025年以降の見直し(予定)

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2025年度以降、以下のような改革が法案として提出され、今後の国会審議に注目が集まっています。

子への加給年金の見直し

  • すべての子どもに対して、加算額を年額28万1,700円に統一(第3子以降も同額)
  • 厚生年金加入期間要件を現行の「20年以上」から「10年以上」への緩和が検討中(未決定)
  • 子の「国内居住」を支給条件とする方向性が示されている

配偶者への加給年金の縮小

  • 年下配偶者の場合、加給額を約4万円減額する案が出されている
  • ただし、現時点の受給者に対しては影響を与えない「経過措置」が取られる予定

制度見直しの背景

  • 共働き世帯の増加で、配偶者にも年金受給権がある場合が多くなった
  • 少子化に対応し、子育て世帯への支援強化が求められている
  • 年金制度の持続可能性確保という財政的背景

確認方法と注意点

加給年金は、個別の家族構成や年金加入歴によって支給の可否が異なります。判断に迷ったら、次の窓口で確認しましょう。

まとめ

加給年金は、家族の状況に応じて年金を上乗せできる制度です。支給要件や金額は細かく設定されており、近年は見直しも進んでいます。2022年の改正や、2025年以降の法改正の動きにも注目しつつ、自分の年金状況に応じた対応をしていきましょう。

参考リンク