2025年5月30日現在、アメリカのトランプ政権が追加関税をめぐり新たな動きを見せています。国際貿易裁判所(CIT)で違法判決が出た場合に備え、最大15%の関税を最長150日間だけ課す「プランB」を検討していると報じられました。
この記事では「そもそも何が起きているのか」「プランBとは何か」「私たちへの影響」をやさしく解説します。
そもそも何が起きたの?
2025年4月、トランプ大統領は大統領令14257を発し、ほぼすべての輸入品に一律10%の関税を課すと発表しました(根拠はIEEPA)。目的は国内産業の保護と貿易赤字の是正です。
ところが5月28日、CITは「大統領権限を逸脱している」としてこの関税措置を違法と判断。政権はすぐに控訴し、翌日連邦巡回控訴裁判所(CAFC)が判決の執行を一時停止したため、関税は現時点で存続中です。
プランBって何?
もし控訴審でも敗訴し、現在の関税が無効化された場合に備え、政権は1974年通商法122条を用いる代替策を準備しています。これがプランBです。
- 関税率:最大15%
- 期間:最長150日間
- 対象:輸入品全般(「深刻な国際収支不均衡」が発動条件)
なぜ150日間だけ?
通商法122条は、大統領が議会承認なしで関税や輸入数量制限を課せる期間を150日に限定しています。150日経過後は、自動失効するのではなく、議会が延長法を可決すれば継続可能です。
私たちへの影響は?
プランBが発動すると、世界のサプライチェーンと物価に波及が及ぶ可能性があります。
賛成派の主張
- 米国内産業の競争力維持
- 海外への過度な依存を抑制
- 通商交渉での交渉材料になる
反対派の主張
- 輸入コスト上昇による物価高
- 報復関税による貿易摩擦激化
- 消費者と中小企業の負担増
これからどうなる?
プランBはまだ検討段階です。実施の可否は次の要素で決まります。
まとめ プランBは「もしも」の関税だが影響は大きい
トランプ政権のプランBは、現行関税が司法判断で無効になった場合の短期的な代替策です。ただし発動されれば、日米双方の物価や企業活動に無視できない影響が及ぶかもしれません。
今後の判決と政権・議会の動きを注視しましょう。
参考資料
– Wall Street Journal “Trump’s Team Plots Plan B”
– AP, Reuters, Bloomberg, NHK 報道各種
– 米通商法 1974年122条全文(U.S. Code, Title 19, §2132) ほか