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消費税「据え置き派」vs.「減税・廃止派」を整理 政党方針と論点

消費税減税

 

2025年現在、消費税を今の10%で維持すべきか、減税すべきかは、経済政策の大きな争点になっています。今回は「据え置き派」と「減税派」の主張を整理し、それぞれの論拠、課題、そして主要政党のスタンスまでをわかりやすくまとめていきます。


1. 消費税据え置き派の主張

1-1. 財政の持続性を重視

据え置き派は、少子高齢化で膨らむ社会保障費を支えるには、消費税という安定財源が欠かせないと主張しています。減税すれば財政赤字が拡大し、将来世代にツケが回るという懸念から、維持すべきという立場を取ります。

1-2. 減税の効果に懐疑的

消費税を減税しても高所得者が多く恩恵を受ける可能性があり、低所得者支援には直結しないとの指摘もあります。また、物価高対策として即効性があるとは限らず、給付金や補助金の方が適しているという見方もあります。

1-3. 実務面の負担

税率変更には、POSレジや会計システムの設定変更が必要で、特に古い機器を使っている小規模店舗では混乱が生じやすいです。とくに「時限減税」のように一時的な変更では、開始・終了時に再設定が必要となるため、現場の負担が大きくなります。

1-4. 国際的な信認リスク

消費税減税は財政の持続可能性に疑念を生み、信用格付けの引き下げなど国際的な評価に影響する恐れも指摘されています。


2. 消費税減税派の主張

2-1. 経済活性化の起爆剤

消費税を減税すれば、家計の負担が軽くなり、消費が活発になることで経済が成長すると期待されています。特にデフレ脱却や景気回復には有効とする見方があります。

2-2. 国民の生活支援

物価高が続く中、特に低所得層の可処分所得を増やす手段として、減税が有効という立場です。逆進性の強い税制であることも、減税を求める理由とされています。

2-3. 財源は他にもある

法人税所得税の見直し、行政改革、税制の再構築で代替財源は確保可能という意見も多くあります。例えば、大企業の内部留保への課税などを提案する政党もあります。


3. 消費税をめぐる政党のスタンスと財源方針(2025年5月時点)

政党 スタンス 主な理由 財源の考え方
自民党 10%維持、減税反対 社会保障の安定財源、財政悪化懸念 代替財源は困難と判断、現行税制維持
公明党 税率変更明言せず、給付金重視 低所得者支援を優先、物価高対策 直接給付による支援で対応
日本維新の会 8%へ引き下げ(軽減税率廃止) 経済活性化と簡素な税制 行政改革で財源捻出
立憲民主党 食料品のみ1年間0%(参院選公約) 物価高対策、生活必需品の負担軽減 一時的財源で対応、財政再検討を併用
国民民主党 5%に引き下げ(賃上げを条件) 家計支援と消費喚起 「給付付き税額控除」で低所得支援と両立
れいわ新選組 完全廃止 逆進性のある税制を問題視、景気刺激 国債発行、富裕層課税などで対応
日本共産党 5%に即時減税 国民の可処分所得を増やす 大企業の内部留保課税など

4. 今後の展望と注目点

2025年夏の参議院選挙を前に、消費税の扱いはさらに注目が高まりそうです。景気の回復具合、物価上昇率、税収の見通し次第で、議論がどう動くか注視する必要があります。

消費税をどうするかは、「誰のための政策か」「その財源を誰が負担するのか」をめぐる根本的な問いでもあります。単なるパーセンテージの話ではなく、社会全体の価値観や将来像とも深く関わるテーマです。