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食品消費税0%は本当に正解?問題点と「れいわ新選組式」代替案を考える

立憲民主党が2025年夏の参院選に向けて、「食品消費税0%」を公約に掲げたと報じられました(NHKニュース、2025年4月25日)。
一見すると、食料品の消費税がゼロになるなんて、家計には嬉しい話に思えます。でも、実際には問題点も多く、慎重な議論が必要です。
今回は、このニュースをわかりやすく整理しながら、食品消費税0%の課題と、現実的な代替案について考えていきます。

www3.nhk.or.jp


ニュースの概要 食品消費税0%の公約とは?

立憲民主党の発表によると、コメ、野菜、肉、魚などの基本的な食料品や、飲料(お酒を除く)にかかる消費税を0%にすることを目指すとのことです。背景には、物価高で家計が圧迫される中、生活必需品の負担を軽くしたいという狙いがあります。

現在、日本の消費税率は10%ですが、食品については軽減税率が適用されて8%。これをさらに0%にすれば、たとえば1,000円の食料品は、今は1,080円で購入しているところを、1,000円で買えるようになります。

表面的にはメリットが大きく見えますが、実際にはいくつか懸念すべき課題が指摘されています。


食料品消費税

食品消費税0%の問題点とデメリット

1. インボイス制度との矛盾と飲食店への影響

2023年10月からスタートしたインボイス制度(適格請求書等保存方式)では、仕入れにかかる消費税額を控除するため、細かい税率管理と記録が求められています。

ここで食料品の消費税が0%になった場合、たとえば飲食店は「仕入れ(0%)」「販売(10%)」という税率のズレに直面します。これにより、

  • インボイスの発行・管理が一層複雑化
  • 小規模事業者の事務負担が増大
  • 税理士への依頼コストも増える

さらに、仕入れ段階で消費税が発生しない場合、仕入税額控除が適用できず、かえって納税負担が増える可能性もあります。特に中小の飲食店にとっては深刻な逆風となりかねません。

2. 消費者や店舗での混乱リスク

税率が「食品は0%、日用品は10%」と分かれることで、

  • スーパーやコンビニでの会計が複雑化
  • 消費者が「これは0%?10%?」と迷う場面が増加
  • 売店側もレジ設定や商品管理に大幅な手間が発生

2019年の軽減税率導入時にも、イートイン(10%)とテイクアウト(8%)の違いでトラブルが相次ぎました。今回さらに税率が拡張されれば、現場での負担はより深刻になるでしょう。

3. 税収減と財政への影響

食料品の消費税収は、日本の税収全体の中でも無視できない規模です。これをゼロにするとなると、

  • 財源不足の懸念
  • 社会保障費などの財源への圧迫

が避けられません。税収減を理由に他の税負担(例えば所得税社会保険料)が増えれば、本末転倒になりかねません。


 一律減税または消費税廃止が現実的

食品だけをゼロにするよりも、

  • 消費税率を一律で引き下げる(例:10%→5%)
  • いっそ消費税そのものを廃止する

方が、シンプルで公平だと私は考えます。

一律減税なら、すべての買い物で同じ税率が適用され、インボイスやレジ対応の負担も軽減されます。さらに、消費者にとっても税率を意識せず買い物ができ、ストレスが減るでしょう。

財源はどうする?「れいわ新選組」の視点

財源については、「れいわ新選組」の考え方に学べる部分もあります。れいわ新選組は、

  • 自国通貨建ての国債発行によって財源を確保する(財政破綻リスクは限定的)
  • 経済成長による税収増加を見込む

という立場を取っています。

つまり、短期的には国債で対応し、中長期的には経済を立て直して自然増収を目指すアプローチです。

これにより、消費税減税や廃止による即時的な財源不足も、経済全体の底上げによってカバーできる可能性があります。もちろん、財政運営には慎重さも求められますが、ただちに増税で穴埋めする以外の選択肢があることも知っておきたいところです。


まとめ  食品消費税0%の導入は慎重な議論を

立憲民主党の「食品消費税0%」公約は、物価高対策として一定のインパクトはありますが、実現には多くの課題を伴います。

  • インボイス制度との矛盾
  • 店舗・消費者の混乱リスク
  • 財政への悪影響

これらを十分に考慮した上で、減税の形をどうするか議論を深めていく必要があります。